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最新「保育所保育指針」とは?改定されたポイントを解説

2021.07.07
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(※2023年11月現在)

保育所保育指針とは、保育所における保育の内容に関する事項、及びこれに関連する運営に関する事項を定めるものです。
昭和23年厚生省令第63号、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第 35 条の規定に基づいて定められており、下記5章に分かれています。

 第1章 総則
 第2章 保育の内容
 第3章 健康及び安全
 第4章 子育て支援
 第5章 職員の資質向上

園の先生方はそれぞれの園で掲げる保育理念とこの保育所保育指針をもとに、全体的な計画、指導計画、保育計画、食育計画などを作成
さらにそれぞれの計画に沿った保育の年間指導案、月案、週案、日案を作成していきます。

保育所保育指針は2017年3月、10年ぶりに大幅に改定が行われ、2018年4月より施行されています。

それまで保育所、幼稚園の指針となるものはそれぞればらばらに作成されておりましたが、
・保育園の保育所保育指針
・幼稚園の教育要領
・幼保連携型認定こども園の教育・保育要領
ここで初めて上記3つが整合性を確保し、幼児教育に関する記載がほぼ足並みをそろえた内容へと変更されました。

2018年度版保育所保育指針の改定されたポイントは大きく分けて6つです。

① 保育園を「幼児教育を行う施設」と位置づけ

 2009年度版の保育所保育指針では、「教育」については「保育所は『養護及び教育を一体的に行う』ことを特性としている。」と記載されているのみでしたが、
 「幼保連携型認定こども園」や「幼稚園」と並んで、2018年度版では第一章 総則に『幼児教育を行う施設』と明記されました。

 また、育みたい資質・能力と、幼児期の終わりまでに(つまり、小学校に入る前までに)育ってほしい姿が下記の通り明記されました。
  1 健康な心と体
  2 自立心
  3 協同性
  4 道徳性・規範意識の芽生え
  5 社会生活との関わり
  6 思考力の芽生え
  7 自然との関わり・生命尊重
  8 数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚
  9 言葉による伝え合い
   10 豊かな感性と表現
 これらに沿って保育計画の作成・実行・評価を行うことが求められています。

② 乳幼児保育に関する記載が充実

 「ねらい」及び「内容」に加えて「内容の取扱い」が追加され、「内容」に対してそれぞれ留意すべきポイントが明記されました。
 2017年に政府が策定した子育て安心プランでは「2020年度中に待機児童を解消」を掲げましたが、目標達成は難しい状況です。
 特に0〜2歳児における保育の利用率は年々上昇、地域にもよりますが待機児童もまだまだ解消されそうにありません。
 また、この時期は心身の発達が著しくみられる大切な時期であるため、
0~2歳児の保育の質を上げるための指針が記載されました。

③ 子どもの健康や安全についての見直し 

 「アレルギー疾患を有する子どもの保育について」、「災害への備え」項目が追加されました。
 また、もし災害が起こってしまった際の避難に関する備えについても「定期的な避難訓練の実施」や「連絡方法、引き渡しの方法について確認しておくこと」とあり、
 日ごろから備えておくべき事項が明記されました。
 また、地域の関係機関と連携した体制作りをおこない、いざという時に必要な協力が得られるように備えておくことも重要です。

④ 育て支援の重要性をまとめた

 「保護者に対する支援」から「子育て支援」に変更され、地域に開かれた支援などに関する記載が増えました。
 日頃から保育所を利用している子どもたちのとその保護者だけでなく、地域に住む親子に対しても包括的に子育て支援を行うことが求められています。
 地域の子どもに対する一時預かり事業を行う際には、家庭の事情を踏まえ、保護者や子どものプライバシーを守りながら、
 保育所保育の専門性を生かした子育て支援を積極的に行うように努めることと記載されています。

⑤ 職員の研修等について具体的に追記された

 職員の質の向上に関する事項では「保育士・看護師・調理員・栄養士など、それぞれの職務に応じた専門性を高めるため、必要な知識及び技術の習得、維持及び向上に努めなければならない」とあり、
 保育士だけでなくすべての職員、つまり園全体でのレベルアップに向けて努力すること、とあります。
 また、職員が保育の質や専門性をさらに向上させるため、職員研修の実施と、キャリアアップのための体制を組織的に取り組むことが新たに掲げられました。

⑥ 育の対象が広がった

 「保育所の役割」で保育に欠ける子どもの保育を行い… → 保育を必要とする子どもの保育を行い… と変更されました。
 「保育に欠ける子ども」の保護者の就労については「昼間労働することを常態としていること」を差していました。
 (※その他、妊娠、出産、保護者の疾病、障害、介護など他条件もあります)

 これが、就労に関して
 ・パートタイムなどすべての就労
 ・求職活動中
 も対象とされ、保護者の「これから働きたい」という需要等も含むこととされました。
 これによって、本当に保育が必要な子どもたちに対しても門戸が広がりました。

 

保育所保育指針(2017年(平成29年)3月31日 最新)

 PDFダウンロードはこちら

 厚生労働省のHPからも確認することが出来ます。
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/hoiku/index.html

保育所保育指針解説(2018年(平成30年)2月 最新)

 PDFダウンロードはこちら

 厚生労働省のHPからも確認することが出来ます。
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/hoiku/index.html

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