認定こども園 Cuddle

福岡県の北東部に位置するみやこ町は、急峻な山々に囲まれ、英彦山を源にする今川が町内を穏やかに流れている。

町には地名の『さいがわ』にちなんで動物のサイを模した外観が特徴的な犀川駅があり、地域のシンボルタワーとして地域住民に親しまれている。
その犀川駅のすぐ近くにある公立保育所が民間委託を行い、受託した法人が運営している保育園の2園を統合し、保育所型の認定こども園として新たに園舎整備を行った。

『ゆくゆくは、地域のこども達が誰でも気軽に立ち寄れるようなこども食堂をつくりたい』という理事長の思いを基に、地域に開いた園舎をコンセプトに設計を進めた。
園舎外観は、ひとつ屋根の下こども達がのびやかに成長できるようにとの思いを込めて、建物全体を包み込むような切妻の大屋根とし、シンプルかつダイナミックな形状がのどかな田園風景にも馴染んだ。

地域に開いた園舎を実現するため、玄関ホールは開放的な空間とし、大きな窓から園舎の様子がうかがえるようにした。
こども達がいつでも本を手に取ることができ、保護者と一緒に本を読むスペースのある図書館のような空間となっている。

夕方頃には、ペンダントライトの光がふわっと辺りを包み込み、地域の方々にもあたたかさを感じてもらえるようなファサードとなった。
内部は、ホールを囲うように保育室を配置し、大屋根の軒を深く出すことで直射日光を遮りながらも、室内にハイサイド窓を設けることで自然な明るさを確保した。

保育室やホールの床や壁には木をふんだんに使用し、木の風合いやぬくもりを感じながら、おとなもこどもも心地の良い空間となっている。