Children's
Program
こどもけんちく教育
プログラム

建築・工事を学びの機会へ こどもけんちく教育プログラム

こどもけんちく
教育プログラム
とは?

くぎを打つ音。ゆんぼのムーブメント。かんなくずだって、みんな生きた教材だ。

「こどもけんちく教育プログラム」は、建て替え工事をただの“工事期間”にせず、子どもたちにとって特別な学びの時間にできたら——そんな思いから生まれた取り組みです。

普段は近づけない建築現場を「生きた教材」としてとらえ、設計士さんや職人さんたちと一緒に、子どもたちが体験しながら学べる全7回のワークショップを行いました。

図鑑や紙の教材では得られない、音・におい・手ざわり・空気感……。
現場でしか出会えない“リアル”にふれることで、子どもたちの五感と心に働きかける教育プログラムです。

01 きっかけ こどもけんちく教育プログラムの始まり

ネガティブをポジティブに変える取り組みとして

この試みの背景には、建て替え工事中の騒音や安全面などに対する保護者や保育者の不安がありました。
「工事中、子どもたちは外で遊べなくなるのでは?」「騒音や安全面が心配です」
仮設園舎の設置や園庭の制限が園生活に与える影響は大きく、教育活動の質や効率の低下も懸念されていました。

そんな声を受けて、私たちは考えました。
制限のある時期を、もっと前向きな時間にできないだろうか
むしろ、工事中だからこそできる体験があるのではないか」と。

施工主、設計士、職人など多くの関係者が協力し、建設プロセスを子どもたちに生きた教材として体験させることで、ネガティブに捉えられがちな期間をポジティブな学びの時間に変える取り組みがスタートしました。

02 実施プログラム 7つのワークショップ

各ワークショップでは、事前学習資料を基に歴史・文化などを学んだ後、現場での体験、制作、振り返り学習を行います。
全体を通して、手を動かす・考える・伝える・協力する力を育み、実社会を子どもたちの視点で再発見する場に。

01 働くくるま

解体現場や工事車両の動きを間近で見て、音や動きへの理解を深めます。

02 地鎮祭

自分たちで道具を作り、儀式に参加。本物と触れ合うことで、日本の伝統建築文化への驚きと理解を得ることができます。

03 上棟式

地鎮祭と同じく、儀式に関わることで新たな発見と文化への理解を深めます。

04 カンナくずポンポン作り

大工さんに道具を教わった後、飾りを制作し、木材の質感や香りに触れることで五感を刺激します。

05 ペンキを塗ろう

新園舎の飾り屋根瓦に実際にペンキ塗りを行います。園への愛着を深める体験にも。

06 ダンボールハウス作り

クラスごとに家のコンセプトを考え、設計図を描き、協力して制作。話し合い、調整、創造を通じて、能動的な学びや協働の力を育みます。

07 こども現場監督

各週交代で現場監督の作業説明を聞き、各クラスに伝える役を担います。質問を集めて掲示板で共有し、社会との接点を体験します。

03 エビデンス プログラムを通して得た学び

こどもたちからの声

「楽しかった」「わくわくした」といった声が多く聞かれ、特に「こども現場監督」に対する「どきどきした」という緊張感も印象的でした。
これは、子どもが自ら責任を持って人に伝える経験をし、自分が社会の一員であることを実感した結果ともいえます。

先生、保護者の声

ワークショップを通じて、子どもたちと先生・保護者の間でのコミュニケーションが活発になり、子どもの発見力や観察力、表現の力に驚きと喜びの声が寄せられました。
園生活の中でも子ども同士の会話や行動に
ポジティブな変化が現れたとの報告もあります。

こどもたちの変化

街中で工事現場に興味を示し、「これは何をしているの?」と話す場面が増加。
言葉の使い方も変わり、建築用語を交えるなど新しい「目」を得たように、物事に気づく力が育ちました。「自ら見つける」力が芽生え、思考力や視野の広がりにつながっています。

04 プログラム総括 この取り組みから見えた未来

「生きもの」や「リアル」に触れる体験型学習として、
新たな教育のあり方のひとつに

本プログラムは、日常の中の「気づき」や「対話」のきっかけを子どもたちに与えるものであり、体験的な学びを通して、社会全体にまで波及する可能性を秘めています。

建築というフィールドを越えて、これから先、どんなテーマや環境でも“体験する学び”はきっと力になると私たちは感じています。小学校〜高校、地域のプロジェクトなど、様々な分野・年齢に合わせてカスタマイズし、展開できる柔軟性と拡張性もこのプログラムの特長です。

社会との接点を持ちづらくなっている現代において、「生きもの」や「リアル」に触れることは、子どもたちにとって重要な栄養であり、このような体験型学習が今後の教育のあり方において鍵になると期待されます。
工事の騒音や不安を「子どもたちの成長のチャンス」に変えたこの取り組みが、地域や学校、家庭の中にも広がっていくことに願いを込めながら、賛同いただける施主様と共にプロジェクトを広げていきたいと思います。

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